建設業許可

経営事項審査制度(経審)

経営事項審査(経審)について、説明してみます。難しい文言は避けて説明しています。

以下の点が審査のポイントになっています。ぜひ経審を受ける前に、どの点が経審の審査に影響するのかをご確認ください。

評点の計算は次のとおりにします。最後に戻って確認すると分かりやすいですよ。

完成工事高(X1)25%評価、自己資本額および平均利益額(X2)15%評価、経営状況(Y)20%評価、技術職員数および元請完成工事高(Z)25%評価、その他審査事項(W)15%評価です。これらの合計をP点(総合評定値)と言います。

完成工事高(X1)

多ければ多いほど評点は高いです。

(1)~(42)の区分から完成工事高を見て評点を割り出しましょう。

1000万円未満から1000億以上までの42段階に区分されています。

工事の種類別に、2年平均または3年平均のどちらか工事額が高い方を選択しましょう。

(ある業種は2年平均、ある業種は3年平均にしたいなどは不可です。)

許可を受けているすべての業種について経審を受ける必要はなく、入札をする業種において経審を受けるということも可能です。

自己資本額および平均利益額(X2)

自己資本額とは

決算書のうち貸借対照表(B/S)の資産総額から負債総額を引いた純資産のことを言います。純資産額を自己資本額評点の算出式に当てはめ評点を出します。

ポイントは、利益をきちんと出している業者かということです。

公共事業を依頼する官公庁は資金繰りに余裕があるのかを見たいと思ってください。

公共事業を受任している最中に倒産してしまった等を事前に防がなくてはならないからです。

平均利益額

平均利益額とは利払前税引前償却前利益のことを言います。

営業利益に減価償却費を足し戻した額のことです。

この額の2年間の平均が評価対象になります。

そして平均利益額評点の算出式に当てはめて評点を出します。

最後に、(自己資本額評点+平均利益額評点)÷2をします。

そして出された数に0.15を掛けます。

利益が出たとしても節税のため、車を買う、役員の報酬を増やす等、利益が来年度の資金となっていない会社は簡単にキャッシュアウト(現金がないため支払いができない状態)しやすいということで評点は低くなります。よって、評点を多くほしい場合は、税金を払った後、会社に資本を残すということが必要です。

技術職員および元請完成工事高(Z)

技術職員数

まず技術職員とはどんな人かについては、資格区分コードを参照ください。

技術者1名が複数資格を所持していても認められるのは2業種までになります。

そして、評点の計算には資格区分コード表において技術職員の点数を合算します。

実務経験者より有資格者、有資格者の中でもより技術力が高いと認められる1級相当の資格保有者が高評価になります。

※監理技術者講習(1級資格者はこちら)や基幹技能者講習(2級資格者および10年の実務経験)を修了した者は各保有資格に1点加算されます。

ぜひ、講習を受講することをお勧めします。

また1級技術者は管理技術者講習を受ける。2級資格者は1級を受ける、実務経験者は2級を受けるような社内環境を作ることを推進します。

元請完成工事高

とは民間および公共工事において元請になった場合の工事高のことを言います。

技術指導員の評点と元請完成工事高評点の割合は4:1です。

その他の審査項目労働福祉の状況(W1)

雇用保険の加入の有無

雇用保険の加入の有無によって評点が減点されるということです。

雇用保険は建設業の場合暫定任意加入が適用されませんので、労働者が一人でもいれば必ず加入しなければなりません。従業員がいない場合、1人親方の場合は加入していなくとも減点の対象ではありません。

未加入減点は400点です。大きな減点ですので健康保険と同様必ず加入してください。

健康保険加入の有無

健康保険は法人の場合必ず加入。

常時5以上雇用する個人事業主は必ず加入です。

加入義務があるにも関わらず健康保険、健康保険組合、土建組合などいずれにも加入していない方は減点されます。

厚生年金加入の有無

厚生年金は健康保険と同様で法人の場合必ず加入。

常時5以上雇用する個人事業主は必ず加入です。

加入義務があるにも関わらず健康保険、健康保険組合、土建組合などいずれにも加入していない方は減点されます。

建設業退職金共済制度の加入履行

建設業退職金共済制度とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構との間で特定業種退職金共済契約を締結していれば評点に加点されます。

日雇いの退職金制度になります。

退職一時金または企業年金制度の導入

退職一時金とは、退職時にまとまった金額を支給する制度です。

この制度は、ある一部分の従業員を対象にしているのではなく、等しく会社の従業員全員に対して、就業規則等(労働組合があれば労働協約)に退職一時金を支給すると明記されているものでなくてはなりません。

企業型年金とは、確定拠出年金法による確定給付企業年金、確定拠出年金法による企業型年金が加点の対象となる年金です。

法定外労働災害補償制度への加入

必ず加入しなくてはならない労災に加えて各自で任意の労災制度に加入していれば評点に加点されます。

・建設業福祉共済団

・建設業労災互助会

・全日本火災共済協同組合連合会

・全国労働保険事務組合連合会

・民間の保険会社

建設業の営業継続の状況(W2)

営業年数

許可日から何年経過しているか、長ければ長いほど評点は高いです。

民事再生法または会社更生法の適用の有無

民事再生法または会社更生法の再生手続きまたは更生手続きを受けたことがあれば減点されます。600点が引かれ引ききれない場合は他の点数から引かれます。再生期間が終了した後営業年数は0になります。

民事再生法等の手続をしなければならなくなる前に、行政書士等に相談しましょう。

防災活動への貢献の状況(W3)

防災協定を締結しているか

災害が起きた際に、国・地方自治体に協力し応急工事に協力するという協定をしている場合は評点に加点がされます。また防災協定には、防災活動にてどんなことをするのかが明記されていなくてはなりません。

法令順守の状況(W4)

指示処分・業務停止処分を受けている場合減点になります。

建設業の経理の状況(W5)

監査の受審状況

会計監査人(主に公認会計士)を設置した場合は加点がされます。

また会計監査人は、無限定適正意見、限定付適正意見を表明している場合に加点されます。

・会計参与(主に税理士)

・経理責任者(登録経理士1級)がいる場合においても加点がされます。

公認会計士等の数等

会社に常勤の公認会計士等がいる場合は加点されます。

・公認会計士、会計士補、税理士、(合格後登録していない者も含む)

・登録経理士試験1級・2級合格者

研究開発の状況(W6)

会計監査人設置会社のみの研究開発費の点数になります。

建設機械の保有状況(W7)

審査時時点において、機械の保有数または審査基準日から1年7カ月以上の使用期間が定められている建設機械の場合、加点されます。

建設機械の種類

ショベル系掘削機・・ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーンまたはパイルドライバーのアタッチメントを有するもの

ブルドーザー・・自重が3トン以上のもの

トラクターショベル・・バケット容量が0.4㎥以上のもの

移動式クレーン・・吊上荷重3トン以上のもの

大型ダンプ車・・車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上で事業種類として建設業届出、表示番号指定を受けているもの

モーターグレーダー・・自重5トン以上のもの

大型ダンプ車・・車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上、表示番号を受けていて建設業用途に使用するもの緑ナンバーでも可

 

国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)

国際標準化機構が定めた規格による登録の状況は、審査基準日において、公益財団法人日本適合性認定協会による、国際標準化機構第9001号(ISO9001)または第14001号(ISO14001)の企画による登録を受けていれば加点されます。

若年の技術者および技能労働者の育成および確保の状況(W9)

若い技術者(35歳未満の技術者)を雇用すると加点がされます。

35歳未満の若い力を建設業界に迎えられるような教育環境を作ることが望ましいです。

 

参考文献:日本法令建設業経営事項審査制度の実務と究極的評点アップ対策

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